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身体的拘束等適正化のための指針

施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方

「私達は身体的拘束廃止に向けて最大限の努力を行わなければならない」
「私達は身体的拘束ゼロ及びサービスの質の向上を目指して実績を蓄積しなければならない」
「私達は自信を持って提供できるサービスを目指し、組織をあげて身体拘束廃止に取り組みます」
  1. 身体的拘束は廃止すべきものである
  2. 廃止に向けて常に努力を行わなければならない
  3. 安易に「やむを得ない」で身体拘束を行わない
  4. 身体的拘束を許容する考え方はやめるべきである
  5. 全員の強い意志で「チャレンジ」をする(ケアの本質を考える)
  6. 創意工夫を忘れない
  7. 利用者様の人権を一番に考慮すること
  8. 福祉のサービスの提供に誇りと自信を持つこと
  9. 身体的拘束廃止に向けてありとあらゆる手段を講じること
  10. やむを得ない場合利用者様・家族の方に対する十分な説明を持って身体的拘束を行うこと
    身体的拘束を行った場合常に廃止をする努力を怠らないこと(常に「0」を目指すこと)

身体的拘束適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項

身体的拘束を適正化することを目的として、「身体拘束廃止委員会」を設置する。
身体拘束廃止委員会は3ヶ月に1回以上開催し、次のことを検討する。
  1. 高齢者虐待・身体的拘束等に関する規程及びマニュアル等の見直し
  2. 発生した「身体的拘束」の状況、手続き、方法について検討し、適正に行われているかを確認する。
  3. 虐待又は身体的拘束等の兆候がある場合には慎重に調査し、検討及び対策を講じる。
  4. 教育研修の企画・実施
  5. 日常的ケアを見直し、利用者様に対して人として尊厳のあるケアが行われているかを検討する。

身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針

新人採用時には、身体的拘束の研修を必ず実施する。
経営連絡会議を通じ年間2回以上の身体的拘束等に関する教育を行う。

施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針

介護保険指定基準の身体的拘束禁止規定

「サービスの提供にあたっては、当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者(利用者)の行動を制限する行為を行ってはならない。」

介護保険指定基準において禁止の対象となる具体的な行為

  1. 徘徊しないように、車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  2. 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  3. 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
  4. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
  5. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
  6. 車椅子や椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける。
  7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
  8.  脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
  9. 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
  10. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
  11. 自分の意志で開くことの出来ない居室等に隔離する。

身体的拘束等を行わずにケアを行うために(3つの原則)

1 . 身体的拘束を誘発する原因を探り除去する

身体的的拘束をやむを得ず行う場合、その状況には必ず理由や原因がある。ケアする側の関わり方や環境に問題があることも少なくない。その人なりの理由や原因を徹底的に探り、除去するケアが必要である。

2 . 5つの基本ケアを徹底する

5つの基本的ケア
以下の5つの基本的なケアを実行することにより、点検をしなければならない状況や、転倒しやすい状況をつくらないようにすることが重要である。

①起きる
人は座っているとき、重力が上からかかることにより覚醒する。目が開き、耳が聞こえ、自分の周囲で起こっていることがわかるようになる。これは仰臥して天井を見ていたのではわからない。起きるのを助けることは人間らしさを追求する第一歩である。
②食べる
食べることによって人にとって楽しみ、生きがいであり、脱水予防、感染予防にもなり、点滴や経管栄養が不要になる。食べることはケアの基本である。
③排泄する
なるべくトイレで排泄することを基本に、おむつを使用している人については、随時交換が重要である。おむつに排泄物がついたままになっていれば気持ち悪く、「おむついじり」などの行為につながつことになる。
④清潔にする
きちんと風呂に入ることが基本である。皮膚が不潔であればかゆみの原因になり、そのために大声を出したり、夜眠れずに不穏になったりすることになる。皮膚をきれいにしておけば、本人も快適になり、また、周囲も世話をしやすくなり、人間関係も良好になる。
⑤活動する(アクティビティ)
その人の状態や生活歴に合ったよい刺激を提供することが重要である。具体的には、音楽、工芸、園芸、ゲーム、体操、家事、ペット、テレビなどが考えられる。言葉によるよい刺激もあるし、言葉以外の刺激もあるが、いずれにせよ、その人らしさを追求する上で、心地よい刺激が必要である。

身体的拘束廃止をきっかけに「よりよいケア」の実現をめざす

「言葉による拘束」にも配慮をする必要がある。
※身体的拘束廃止フローチャート参照

身体的拘束発生時の対応に関する基本方針

身体的拘束は行わないことが原則であるが、緊急やむを得ない場合については、下記の運用によるものとする。
介護保険指定基準上、「当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」には身体拘束が認められているが、これは「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件を満たし、かつ、それらの要件の確認等の手続が極めて慎重に実施されているケースに限られる。
※「緊急やむを得ない場合」の対応とは、これまで述べたケアの工夫のみでは十分に対処出来ないような、一時的に発生する突発事態のみに限定される。当然のことながら、安易に「緊急やむを得ない」ものとして身体的拘束を行うことのないよう、次の要件・手続きに沿って慎重な判断を行うことが求められる。

1 . 3つの要件をすべて満たすことが必要

以下の3つの要件をすべて満たす状態であることを「身体的拘束廃止委員会」「経営連絡会議」等で検討、確認し記録しておく。

切迫性
利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。
*「切迫性」の判断を行う場合には、身体的拘束を行うことにより本人の日常生活等に与える影響を勘案し、それでもなお身体的拘束を行うことが必要となる程度まで利用者本人等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が高いことを、確認する必要がある。

非代替性
身体的拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと。
*「非代替性」の判断を行う場合には、いかなる場合でも、まずは身体的拘束を行わずに介護するすべての方法の可能性を検討し、利用者本人等の生命又は身体を保護するという観点から他に代替手法が存在しないことを複数のスタッフで確認する必要がある。また、拘束の方法自体も、本人の状態像等に応じて最も制限の少ない方法により行われなければならない。

一時的
身体的拘束その他の行動制限が一時的なものであること。
*「一時性」の判断を行う場合には、本人の状態像等に応じて必要とされる最も短い拘束的時間を想定する必要がある。

2 . 手続きの面でも慎重な取り扱いが求められる

  1. 「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかの判断は、介護主任・看護主任・主任相談員・施設⾧の合意のもとに行う。「運営推進会議」において議題として上げ協議を行う。基本的に個人的判断で行わないこと。
  2. 利用者本人や家族に対して、身体的拘束の内容、目的、理由、拘束の時間、時間帯、期間等を出来る限り詳細に説明し、十分な理解を得るよう努める。説明は看護主任及び介護主任もしくはそれに準ずる者で行う。仮に、事前に身体的拘束について施設としての考え方を利用者や家族に説明し、理解を得ている場合であっても、実際に身体的拘束を行う時点で必ず個別に説明を行う。
  3. 緊急やむを得ず身体拘束を行う場合についても、「緊急やむを得ない場合」に該当かどうかを常に観察、再検討し、要件に該当しなくなった場合には直ちに解除する。この場合には、実際に身体的拘束を一時的に解除して状況を観察するなどの対応をとること。

3 . 身体的拘束に関する記録が義務づけられている

  1. 緊急やむを得ず身体的拘束を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならない。身体的拘束等をしないサービスを提供していくためには、施設サービス提供に関わる職員全体で以下の点について十分に議論して共通認識を持ち、拘束を無くしていくよう取組む必要がある。サービスの提供の中で、本当に緊急やむを得ない場合にのみ身体的拘束等を必要と判断しているか。本当に他の方法はないか。高齢者は転倒しやすく、転倒すれば大怪我になるという先入観だけで安易に身体的拘束等を行っていないか。身体的拘束等に準ずる行為と感じたら「ちょっと待って報告」により情報を公表することが、職員としての責務です。
  2. 具体的な記録は「身体拘束に関する説明書・経過観察記録」を使用する。記録には、日々の心身の状態等の観察、拘束の必要性や方法に係わる再検討を行うごとに逐次その記録を加えるとともに、それについて情報を開示し、職員間、施設全体、家族等関係者の間で直近の情報を共有する。また、この記録は行政の監査においてもきちんと整備し閲覧して頂けるようにする。

入所者等に対する当該指針の閲覧について

当該指針は、全ての職員が閲覧可能とする。

その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針

身体的拘束等をしないサービスを提供していくためには、施設サービス提供に関わる職員全体で以下の点について十分に議論して共通認識を持ち、拘束を無くしていくよう取組む必要がある。
  • マンパワーが足りないことを理由に、安易に身体的拘束等を行っていないか。
  • 事故発生時の法的責任問題の回避のために、安易に身体的拘束等を行っていないか
  • 高齢者は転倒しやすく、転倒すれば大怪我になるという先入観だけで安易に身体的拘束等を行っていないか。
  •  認知症高齢者であるということで、安易に身体的拘束等を行っていないか。 
  • サービスの提供の中で、本当に緊急やむを得ない場合にのみ身体的拘束等を必要と判断しているか。本当に他の方法はないか。
※身体的拘束等に準ずる行為と感じたら「ちょっと待って報告」により情報を公表することが、職員としての責務です。
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